2007年10月18日
実は、崩壊直前にある「サブプライムローン」金融不安
まずは、最近の証券会社、投資銀行の四半期決算から。
野村、米サブプライム関連で損失1456億円・1-9月(10/15日経)
野村ホールディングスは15日、米国の信用力が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を受け、1―9月に総額1456億円の損失を計上すると発表した。2007年7―9月期に400億―600億円の連結税引き前赤字に転落する。大幅な損失計上を受け、米国での住宅ローンの証券化事業から完全に撤退する。
米メリル、赤字転落へ・7-9月、サブプライムで評価損6400億円 (10/6日経)
米証券大手メリルリンチは5日、7―9月期決算が最終赤字に転落するとの見通しを発表した。サブプライムローン関連で、約54億ドル(約6400億円)の評価損を計上するため。サブプライム関連の損失では米大手証券で最大となる。
米シティ、7-9月期純利益57%減――サブプライム損失響く(10/15日経)
米金融最大手シティグループが15日発表した2007年7―9月期決算は、純利益が前年同期比57%減の23億7800万ドル(約2780億円)と大幅に落ち込んだ。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響で、65億ドル超(約7500億円)の損失が発生した。
サブプライムローンに端を発した「住宅ローン担保証券」の損失を、4半期決算で計上する証券会社、金融機関が続出している。しかし、損失確定がこのレベルで終わる保証がない。
つまり、「住宅ローン担保証券」は、現在、取引が全面停止状態であり、時価評価が不可能なのである。
野村ホールディングの損失計上は、取扱商品を全てゼロ価値として計上している模様である。損出確定の唯一の基準はゼロ価値計上である。
では、他の金融機関はどうしているか。
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ブログ上での解説によると、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーから、額面の80%程度の水準で「市場気配値」が流されている。
多くの金融機関、機関投資組織は、この気配値を前提に、四半期決算で時価試算している。
参考サイト:CDOの恐怖・・・再度問う
むしろ深刻なのはその上に乗っかってAA、だのAだののレーティングが着いているシニアと呼ばれる債券を買った金融機関である。エクイティーがゼロになったとして、シニア部分がどれだけ毀損しているか正直不明なために、信じられないことだが、そのCDOの売り手であるモルガンスタンレーだとかゴールドマンサックスだとかが出してくる所謂気配値でいまだに評価しているのが現状だ。ざっと見てみると大体100に対して80くらいですね、という見当で評価が出てきて、これを元に決算書を作成している訳だ。
野村並みの時価判断を行なえば、損失総額が世界中で23兆円にも達するというIMFの試算になるのである。
サブプライム関連損失、最大23兆円に・IMF試算(9/26日経)
国際通貨基金(IMF)は24日、国際金融の安定性に関する報告書を発表した。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に強い懸念を表明し、金融機関などに最大2000億ドル(約23兆円)の損失をもたらす可能性があるとの試算を明らかにした。
この事態に対して、「住宅ローン担保証券」を「飛ばし処理」する動きが始まっている。
米大手3行、サブプライムで対策基金設立を発表(10/15日経)
米大手銀シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースは15日、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に対応するため、共同で基金を設立すると正式発表した。サブプライムローンに投資し、資金難に陥っている運用機関向けに短期の資金を提供する。信用市場を正常化させ、金融・経済への影響の拡大を防ぐ。ファンドの名称は「マスター・リクイディティ・エンハンスメント・コンデュイット(M―LEC)」。90日以内に立ち上げる。金額は明らかにしていないが、報道では750億―1000億ドル規模とされる。大手3行以外にも複数の金融機関、運用機関が設立に賛同しているという。
具体的には、住宅ローン担保証券(RMBS)などに投資している運用会社向けに、M―LECから資金を提供する。こうした運用会社は短期の資金調達に頼っており、サブプライムローンの焦げ付きによる財務内容の悪化で資金繰りが厳しくなっていた。放置すると証券を投げ売りし、価格下落に歯止めがかからなくなる可能性がある。
買手の付かない「住宅ローン担保証券」を評価して、運用会社の資金繰りを支援しようとするのである。では、誰が、この基金にお金を出すのだろうか?結局、日本のバブル処理と同じように、公的資金の注入に行き着くように思います。
参考:
スーパーコンデュイット、M-LEC=SIV資産買取機構
いまの所、米国財務省・FRBは公式には関与していないが、危機意識は強いものがある。
「市場安定になお時間」FRB議長、必要なら追加利下げも (10/16日経)
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は15日、ニューヨークで講演し、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に端を発した金融不安の沈静化にはまだ時間がかかるだけでなく、再び悪化する可能性もあると述べた。「市場機能の有効性を維持し、持続的な経済成長と物価の安定を支えるため、必要に応じて行動する」と語り、今後の状況次第では追加利下げを検討する考えを示唆した。議長は「8月中旬の最悪期に比べて市場の状態がやや改善した」と指摘。9月18日の大幅利下げなどが奏功し、企業が短期資金を調達するコマーシャルペーパー(CP)市場などの混乱に一定の歯止めがかかったとの見方を示した。
ただ「市場機能の完全な回復にはなお時間がかかりそうで、再び悪化する可能性も残る」と強調。「当面は状況を注視するつもりだ」と語り、警戒姿勢を緩めない立場を鮮明にした。
最後におまけです。
日本の不動産市場をリードしてきたJ-REIT(不動産投資信託)が、本年6月まで急激に価格を上げていたが、7月以降価格下落が顕著になっている。証券化マネーゲーム終焉の余波が、J-REITにも確実に波及している。
東証REIT指標の2年間の動き

(図は、ADVFNジャパンの東証REIT指標から。2年間のチャートの処理実施)
- by leonrosa at 08:05 in 05.瓦解する基軸通貨

コメント
追伸です。
FRB議長講演の翌日に、米国財務省ポールソン長官も講演を行っている。
サブプライムローン発の金融不安について、FRB、米国財務省、米国証券取引委員会(SEC)が参加する作業部会を設置したことを明らかにしている。
参考:米、サブプライム包括対策・財務長官表明「最も深刻なリスク」(10/16日経)
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt1/20071016AS2M1603G16102007.html
日経には書かれていないが、テレビ報道では、シティ銀行等の救済基金設立について、検討の場を財務省が用意したことを、ポールソン長官が認めていた。
(同氏の話し方が、余り滑らかではないのが印象に残りました。気質がそうなのか?テーマ故なのか?はわかりませんが。)
19日には、G7(財務相・中央銀行総裁会議)が開催される。
日銀、日財務省への取材・報道は、どうなっているのだろうか。