2008年10月01日
ロシア金融危機の再来か?
サブプライムローン問題に端を発した米国金融危機は2008年に入り、銀行・保険・証券関連の金融機関の破綻・再編が激化しています。
08年米金融機関の破綻・再編の流れ
1月/米銀大手バンク・オブ・アメリカが住宅金融大手カントリーワイド・フィナンシャルの買収。
3月/米国ベアスターンズの実質破綻。米銀大手JPモルガン・チェースが救済合併。
7月/カリフォルニア州の地銀インディマックが破綻。20年ぶりの大型銀行倒産。
9月15日/リーマンブラザーズの破産。米銀行大手バンク・オブ・アメリカは米証券大手メリルリンチを買収。
9月16日/保険世界最大手のAIGが米連邦準備制度(FRB)の公的管理下に置く。
9月20日/米政府は、金融機関が抱える証券化商品など不良資産について、最大75兆円の公的資金で買い取る計画を議会に提案。
9月29日/米銀行最大手の米シティは同4位のワコビアを買収。米下院で金融安定化法案(2008年緊急経済安定化法案)否決。ニューヨーク株式相場は、前週末終値比777.68ドル(約7%)安と過去最大の下げ幅を記録
図版は時事通信社より転用させていただきました。
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米金融市場の壊滅的な状況は欧州(イギリス含む)、日本、中国、ロシア、インドを初め、アジア・中南米などの新興諸国にも深刻な影響を及ぼしています。中でも、ロシアの金融市場は9月17日終値で08年5月19日高値の57.4%まで下落しています。震源の米国市場でもこのような極端な落ち込みはありません。
ロシアは大丈夫なのか?
改めて、ロシアの金融状況を見てゆきたいと思います。
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ロシア株式市場の動き
9月18日、ロシア政府の最大5000億ルーブル(約200億ドル)規模の株式買い支えを骨子とする緊急金融市場安定策を好感し持ち直しの兆しを見せていたが、たった4~5日後には下降局面に入って、現在時点も下落が続き最安値となった9月17日終値に再び近づきつつある。
ついに9月29日にはロシア政府系金融機関が中堅のスビャジ銀行の救済に乗り出した。
ロイター/ロシア株式指数RTS指数は9月30日1.48%上昇して引け、10月1日03:10 PM 現値146JPY、前日比0、前日比率0%で推移している。(大阪証券取引所)
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ロシア金融危機の再来か?
ロシア経済事情に関連する記事を紹介しておきます。
「米国発金融不安がロシアの潜在的リスクを増幅させるが、経済的基礎体力は過去とは段違い」発表日:2008年9月17日(水)『World Trends』第一生命経済研究所 経済調査部:西濱氏から抜粋引用させていただきました。
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要旨
・米国大手証券リーマンブラザーズの破綻による世界的な金融不安は、先月のグルジア紛争による政治的リスクの顕在化で投資家による資金逃避が進むロシアから、さらなる逃避誘因をもたらしている。株式、為替、債券などで売り圧力が掛かり、1998年のロシア金融危機以来、一見すると「危機的」とも言える厳しい状況となっている。
・しかし、ここ数年の経済成長により外貨準備は世界3位の規模に至っており、当局が大規模なルーブル買い(ドル売り)介入を実施しているが、直ちに外貨準備が枯渇する状況にはない。さらに、金融危機の引き金となった公的対外債務についても、政府が同危機後に緊縮財政を敷く中で圧縮が進められている。一方で、民間債務の拡大という懸念があるものの、対外債務残高は外貨準備の半分未満と規模的にも直ちに問題になる状況に至るとは考えにくい。
ここ数年の高成長による外貨準備の積み上げ、緊縮財政による公的対外債務の圧縮が対外的リスクを低減
・ロシア経済は、ここ数年の高成長を背景に海外からの投資資金が旺盛に流入したことで、外貨準備高は8月末時点で4,461億ドルと世界3位の規模に達している。したがって、先月来の通貨ルーブルの減価基調に対して、金融当局は通貨安定化の観点から大規模なルーブル買い(ドル売り)介入を行っているとみられ、外貨準備は8月の1ヶ月の間に160億ドル減少しているものの、直ちに外貨準備が枯渇するような状況にはないと言うことが出来る。
・さらに、1998年の金融危機の際には、同国の国際的な信認の低さに起因する形で、対外債務に対して過度に政府保証を付与したことがその後のデフォルトを生む契機になったと考えられる。しかし、金融危機の後はロシア政府が基本的に緊縮的な財政姿勢を志向したことで、公的対外債務残高の圧縮に取り組んできた。その一方で民間債務が拡大していることには懸念があるものの、直ちにデフォルトが発生する懸念が高まるような事態に陥る可能性は極めて低いと考えられる。
加えて、ロシアは、
原油埋蔵量は世界総埋蔵量の14%、天然ガスは27%と圧倒的な埋蔵量を保有し、原油価格高騰で00年以来の黒字財政状況を背景に、石油取引をルーブル建てとしたり、世界通貨宣言などで米国ドル体制を牽制してきた。世界金融恐慌の影響は株価の急激な下落などに表れているようにロシアといえどもゼロではなく、予測できない事態も想定しなければならないだろう。しかし、欧米諸国に比べ、ロシアの抱えるリスクは少ないと言えるのではないでしょうか。
折しも、モスクワ発ロイター電は
ロシアのクドリン財務相は1日、政府は株価維持のための買い支えはまだ始めていないと述べた。同財務相は経済紙ベドモスチ主催の会合に出席し「(買い支えのための)2500億ルーブルはまだ使われていない。政府はまだ市場に介入していない」と述べた。また「政府が株式を買い支えなくてはならない状況にはならないことを望む」とも述べた。ロシア政府は先月、公的資金による5000億ルーブルの株式買い支え策を柱とする緊急市場安定化策を発表。そのうち2500億ルーブルは今年中に投入するとしている。
- by unkei at 17:34 in 07.新・世界秩序とは?

コメント
原油・天然ガスの現物を持っている強味ですね。
98年のロシア危機の時は、引き上げる外資が膨大な利益を出しながらドル引き上げを行った。
(パーバードの基金もその一役を担った。)
しかし、今回は、「外貨引き上げするなら、損きりで(損失を出して)引き上げて貰ってよろしい」というスタンスですね。
ところで、ロシアには株式市場がありますか?どんな会社が上場しているのでしょうか?
>しかし、欧米諸国に比べ、ロシアの抱えるリスクは少ないと言えるのではないでしょうか。
とある一方で、株価が下がっている理由は、何故でしょうか?金融不安に対するリスクから投資離れが進んでいるからなのでしょうか?
デフォルトを意識してとのことであれば、リスクは少ないとの予測と整合しないようにも思えますが・・・・。
コメント有難うございます。返事が遅くなりました。
ロシアにも株式市場があり、RTS指数の構成銘柄となっている主要銘柄は48となっています。その内、ガスプロム(天然ガスの独占企業)、ロスネフチ(石油最大手)、ルクオイル(石油2番手)など石油・天然ガスの主要上場企業8社がRTS指数の58.3%を占めているということです。
これら石油・天然ガス企業が占めるウエイトが高いために、原油先物価格との連動性が高く、原油価格が堅調であれば強さを発揮する構造がロシア市場の特徴ともいえそうです。
une様コメント有難うございます。
一昨日、日経平均株価は、10,000を割り込みました。RTSの下げ幅は何と100を割り込み最高値の30%(’95年基準値を下回る)まで下落しています。
このような状況では、une様の指摘
>リスクは少ないとの予測と整合しない<
との見方もできますが、
ロシアは欧米とは異なるという意見もあります。
参考に紹介します。
高成長のロシア経済に潜む世界経済との「非連動性」と「連動性」の構図=ジェトロ 大橋氏
>マクロ指標を見る限り、ロシア経済の動向は、米国発のサブプライム問題で見通しが泥沼的に後退している先進国経済とは「デカップリング」(非連動)の形である。<
>しかし、それはロシア経済が先進国経済と非連動しているためではない。しばしば言われるように、ロシア経済が好調である最大の要因は、主要輸出品目である石油の世界価格高騰による輸出収入の増大にある。2000年に253億ドルであった石油輸出は、07年には1141億ドル(前年比11.5%増)と増え続けている。<
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK012049020080418(ロイター)
>更にロシアの実態経済は堅実で国内消費の拡大、産業構造の変化、インフラ需要の増大など株価と連動はしていないと言われています。<るいネットー今井氏http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_189271
これらの見解を見ればロシアはちょっと違うのではと思います。