2009年12月07日
宇宙船地球号パイロットのマニフェスト(2) 石油に代わる代替エネルギー資源としてのトリウム
初回には、年金基金の運用について考える中から、「石油・ドル本位制」に代わる世界システムの構築に取り組むミッションを受け止めるに至ったことを書きましたが、それでは石油等の化石燃料に代わるエネルギーを何に求めるのかについて、明らかにしなければなりません。その場合、二つのポイントを前提にする必要があります。一つは、人類全体が必要とするエネルギーの総量の把握です。二つには、今なおエネルギーを満たされていないBOP(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)を優先するという立場です。不用意な省エネ論などは、BOPの人びとへの死刑宣告でもあるからです。
今後の進捗は次のように予定しています。バックナンバーについては、リンクになっています。
1.「石油・ドル本位制」に代わる世界システムをつくる
2.石油に代わる代替エネルギー資源としてのトリウム(本稿)
3.人類が必要とする8万kWe、84万基のトリウム原子炉
4.トリウム原発によるBOP優先の安価な電力供給計画
5.トリウム・エネルギーが生むポスト・ドルの準備通貨「UNI」
6.地域通貨「アトム」から国際準備通貨「UNI」への出世街道
7.「見えざるカミの手」による布石か? シーランド要塞跡
8.金融崩壊の今こそ、金融再生を担う新しい人材が必要
9.工程表に従い、エンジニアリング企業とシーランドを確保
10.2050年の人口を基に策定したマーケティング・エリア
11.総額1680兆円の建設費を要するトリウム・エネルギー
12.トリフィン・ジレンマのない「アトム」だから「UNI」に出世できる
13.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(上)
14.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(下)
ありがとうございます。
21世紀に人類は、総量で1兆kWeの核エネルギーを必要とする
石油に代替する「エネルギー」に関しては、オバマ氏の就任以来「グリーン・ニューディール」なるものが唱導されていますが、核エネルギーを排除したいわゆる「グリーン・エネルギー」に「石油」文明の代替を期待し、託すには、22世紀まで待たなければならないというのが通説のようです。
この間を架橋する担い手となりうる「エネルギー」は、どう考えてみたところで、結局のところ「核エネルギー」しかありえません。いきなり結論めいた書き方をしましたので、反原発を信条とされている方には甚だ抵抗の大きい決め付けに聞こえるかもしれませんが、現実直視のためにあえて言い切っている次第です。
「トリウム熔融塩原子炉」の実現に生涯をかけた古川和男博士は、この橋渡しの期間に全人類が必要とする「核エネルギー」の総量を、マルケッツイの物流関数という手法を使って、電力換算で、約1兆kWeであると算出しています(文春新書「『原発』革命」192p)。
私はこの1兆kWeの電力を、核兵器、核拡散、核廃棄物(「3K」)を生むウラン-プルトニウム・サイクルの原発に委ねることは、絶対にできないと考えています。ところが、反原発運動の中にも少しずつ認識が広まりつつありますが、原発の中には、ウラン-プルトニウム・サイクルがもたらす「3K」と無縁の、まるで安全な「トリウム熔融塩原子炉」による「トリウム原発」があります。
苛酷事故と無縁で、放射性廃棄物を減らし、プルトニウムを焼却するトリウム炉

ちなみに私は、Googleアラートに、「Thorium」というキーワードを登録していますが、昨年までは月に一件以下のヒットしかなかったものが、今ではほとんど毎日のように配信があります。3Kと無縁のトリウム原発に対する世界の関心が、急速に盛り上がってきていることを、このことからも伺い知ることができます。
ついでに言えば、「基軸通貨」というキーワードも、昨年から今年にかけて激増しており、「石油・ドル本位制」に代わる新しい世界システムを確立することこそ、宇宙船地球号の究極の課題であるとする私の主張が、このようなデータからも裏付けられているようで、心強く思っている次第です。
ところで、トリウム原発の研究開発をリードしてきた古川和男博士の著書、「『原発』革命」(文春新書)のカバー裏には、次のような紹介文が書かれています。
地球の温暖化から化石燃料の使用は控えざるをえない情況なのに、代替を期待される自然エネルギー技術はあまりに未熟、かといって原発は安全性に疑問、とエネルギー問題に解決の糸口はないかに見える。しかし、長く核エネルギー技術の開発に携わってきた著者はいう。事実上頼れるのは原発のみ、ならば今の原発を根本から変えよう、安全な原発は造りうる。危険なプルトニウムは消滅させうる、と。本書は未来を見据えた現実的で真摯なエネルギー論である。
「トリウム熔融塩原子炉」の特徴は、まず原理的に苛酷事故を起こすことがありえず、ウラン軽水炉に比べて3,667分の1しか放射性廃棄物を生まず、最も厄介な核廃棄物であるプルトニウムを生み出さないばかりか、このプルトニウムをも燃料として焼却し、エネルギーに変えてしまうことのできる唯一の原子炉でもあります。
冷戦の役に立たないトリウム原発を封印したアイゼンハワー大統領
反原発運動の中では、核兵器や核拡散の原因物質であるプルトニウムを指弾するわりには、溜まりに溜まりゆくプルトニウムをどうやって処分すればいいのかについては全くノーアイデアのようです。本気で地球上からプルトニウムを葬り去ろうと考えるのであれば、繰り返しますがこれをトリウム炉で燃やして、核エネルギーに変えてしまうしかありません。
つまり、反ウラン-プルトニウム原発運動は、実は親トリウム原発運動にならなければ、首尾一貫しないということになるわけです。いわゆるプルサーマルなるものも、プルトニウムの産出を前提としている限り、プルトニウム消滅の解決策にはまるでなりません。
反原発運動の中にあるもう一つの誤解として、「核エネルギー」を太陽光や風力や地熱と切り離して、あたかも自然エネルギーではないかのように考える認識が広められていますが、むしろ「核エネルギー」は最も典型的な自然エネルギーであり、とくに熔融塩という液体燃料を使う「トリウム熔融塩原子炉」によって得られる「核エネルギー」は、地球のマグマのエネルギーと基本的に軌を一にするものです。
「トリウム熔融塩原子炉」の基礎実験は、今から40年前の1969年、米国のローレンス・リバモア研究所で成功していましたが、「核兵器を作れないトリウム原発は冷戦の役に立たない」として、アイゼンハワー大統領によって却下され、封印されてしまいました。ここで第一ボタンの掛け違いが生じたのです。
- by Dr. Done at 18:00 in 07.新・世界秩序とは?



コメント
「トリウム熔融塩原子炉」っていいことずくめの原子炉なんですね!しりませんでした!
代替エネルギーとして、利点がすごく大きいのに、冷戦の役に立たないからといって、使用しないのはなんとも不思議な気がします。
この続きが気になります☆
イルカさん
コメントありがとうございます。
いつの時代にも、悪貨が良貨を駆逐することがあります。パラダイムシフトって、みんなの力で、良貨をもって、悪貨を駆逐する闘いですね。
ウラン-プルトニウム・サイクルをトリウム・サイクルで、ドルを新しい単一の国際準備通貨で・・・。
次回もよろしくお願いします。
Dr. Done
『原発=危険!!』と直結していたけど、違ったんですね(@o@;
トリウムを使えば安全な原発が実現可能だったなんて☆
これもまさに情報操作されている事例の1つですね…。
>「核兵器を作れないトリウム原発は冷戦の役に立たない」として、アイゼンハワー大統領によって却下され、封印されてしまいました。
すっごく自己中な発言…(>_ 自分達の利益に繋がらなかったら全て封印してしまうというスタンス。
なんかこういう人達が国を動かしていると考えたら、
そりゃうまくいかなくなるよねって思っちゃいました。
トリウム原発、とってもよさそう♪って思うけど、
実現していくためにどんな課題があるのか、危険性はないのか?が気になるところです☆続き楽しみにしています(*^^*)
mihoriさん
毎度コメントありがとうございます。とても励みになります。
トリウム・タブーはアイゼンハワーだけではありません。日本では、マスコミも含めてほとんど無視、冷視、敵視状態が続いてきました。数十年ものあいだ・・・。
でも今はアメリカが最も力を入れて、研究開発に取り組んでいます。しかもそのプロジェクトには、なんと日本の電事連は、研究員を派遣すらしているのです。
トリウム原子炉の将来像は、一家に一台、冷蔵庫大きの大きさになって、必要なエネルギーは全て家庭単位で賄われるようになります。
また100年間燃料を補給しなくても走り続けるトリウム・カーの開発研究も進んでいます。
でも人類の3人に一人は、今でも電気の無い暮らしをしています。私はこの人たちに、生きるための基本的インフラを得ることについての「機会均等」を実現することが最優先だと思っています。
では次回をお楽しみに・・・。
Dr. Done
「トリウム熔融塩原子炉」のこともっと教えてください。
なぜ安全なのか。
原料のトリウムってどんなもの?
続編期待しています。
よろしく、お願いいたします。
norioさん
コメントありがとうございます。
norioさんはGoogleアラートを使っていらっしゃいますか?
まだなら「thorium」というキーワードを入れてみてください。ヒットして送信されてくる情報を拾い集めているうちに、気が付けばトリウムについて、かなりの物知りになれるはずです。
まずトリウムについての基本知識は、Wikipediaの「トリウム」を参照してみてください。トリウム原発に関してはいささか情報が古いようですが・・・。
天然のトリウムは232Thのみです。これが中性子を1個吸収すると、233Uに変わるので、エネルギーを得ることができるのです。
つまり、トリウムはウランやプルトニウムと違って、中性子が存在しない環境では、絶対に自ら核分裂を起こすことはありません。
ウラン炉で使う238Uよりも6軽いので、プルトニウムや超ウラン元素を生じません。つまりトリウム炉では核廃棄物がほとんど出なくなるばかりか、最悪の廃棄物とされるプルトニウムをも燃料として燃やしながら消滅処理すらできるのです。
また233Uには232Uが含まれ、これが強力なガンマ線を出すため、持ち出しができないため、軍事に使えず、核拡散、核テロにも使えません。
トリウム熔融塩炉では、読んで字のごとくトリウムのフッ化物、フッ化トリウムを、フッ化リチウムとフッ化ベリリウムを混合した熔融塩(高温で液体、フリーベという)に溶かし込んだ液体燃料の形で使います。
フリーベは放射能の影響を受けず、常圧で燃焼も爆発もせず、熱容量の高い中性の理想的な媒体です。したがってチェルノブイリ災害の追うな苛酷事故を原理的に起こしません。
燃料塩が漏洩する可能性は考えられませんが、仮に漏洩したとしても、燃料塩はドレインタンクに収納されます。
炉から燃料塩が無くなれば、炉は反応を停止しますので、再臨界事故は起きません。
炉心は4000度の熱に耐える黒鉛ですので、メルトダウンすることもありません。
熔融塩は融点が500度Cですが、凝固すれば水に溶けず安定なガラス固化体になるだけです。
環境に放出されやすい放射性物質であるクリプトン、キセノン、トリチウムが生じますが、これらは常時除去されていますので、事故によって大量に環境放出されることはありません。
以上からトリウム熔融塩炉は、原理的に苛酷事故を起こさない唯一の原子炉で、軍事攻撃やテロ破壊活動にも最も安全な原子炉であるということができます。
次回は14日に投稿される予定です。お楽しみに。
Dr. Done
本題とは関係ありませんが、気が付いたら1回目と2回目の画像が変わったようですね。これって、ひょっとしたら、オリジナルにつくってるのですか。せっかくですから、もっと大きくして入れてくださったほうが、いいのではないかと思います。毎回どんな画像が出るのか楽しみに読ませていただきます。