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2009年12月14日

宇宙船地球号パイロットのマニフェスト(3)                 人類が必要とする8万kWe、84万基のトリウム原子炉

第2回の枕にも書きましたが、次世代エネルギーを論じるに当って、人類が必要とするエネルギーの総量を、計数的にもイメージ的にも、時系列的にも、はっきりと把握することはきわめて重要です。このことをあいまいにしたまま、次世代エネルギーを定性的にのみ論じるのは、ともすれば夢想に終わりかねない危険を孕むものです。


エジソンによる電球の発明以来130年を経過した今に至るも、全人類の3分の1に当る22億人は、いまだかつて電力というエネルギーの存在を全く知らない非電化地域に住んでいるのです。この22億人(2050年には多分40億人)に電力を届けることは、筆者の最も切実な悲願でもあります。


ということで、3回目をお届けしますが、例によって今後の進捗を一覧にしておきます。バックナンバーについては、リンクになっています。


 1.「石油・ドル本位制」に代わる世界システムをつくる
 2.石油に代わる代替エネルギー資源としてのトリウム
 3.人類が必要とする8万kWe、84万基のトリウム原子炉(本稿)

 4.トリウム原発によるBOP優先の安価な電力供給計画
 5.トリウム・エネルギーが生むポスト・ドルの準備通貨「UNI」
 6.地域通貨「アトム」から国際準備通貨「UNI」への出世街道
 7.「見えざるカミの手」による布石か? シーランド要塞跡
 8.金融崩壊の今こそ、金融再生を担う新しい人材が必要
 9.工程表に従い、エンジニアリング企業とシーランドを確保
10.2050年の人口を基に策定したマーケティング・エリア
11.総額1680兆円の建設費を要するトリウム・エネルギー
12.トリフィン・ジレンマのない「アトム」だから「UNI」に出世できる
13.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(上)
14.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(下)


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ありがとうございます。


北欧で、チェコで、アメリカで、澎湃と芽吹いてきたトリウム・ルネサンス


アイゼンハワーによるボタンの掛け違い以後、古川和男博士を始めとする世界の核技術者たちの手で、研究開発の命脈が細々と保たれてきましたが、今(2009)年1月、北欧3国のトリウム原発の開発企業3社のコンソーシアムが、ついにフィンランドの次期の6番目の原発として、300万kWeのトリウム原発を採用するよう、提案がなされていることが発表されました。


またトリウム熔融塩の研究で世界の最先端を行っていたチェコ原子力研究所は、2011年にトリウム熔融塩原子炉を完成させることを公表しています。


ちなみに、私が上記「みんなの年金」の開発のためにニュージーランドに設立した信託会社、Golden Globe Trustee Ltd.と、このチェコ原子力研究所の研究者およびチェコ工科大学核工学科の教授陣、それにヨーロッパ最大手の原子力メーカーであるシュコダ核事業部の技術者、および古川和男氏とフランスのルコック氏は、2006年9月、トリウム熔融塩原子炉の実現に向けてコラボレーションを進めるための覚書を交わしています。


一方アメリカでは、40年前にトリウム炉の実験実証を成功させた上記のローレンス・リバモア研究所が、アルゴンヌ研究所、ロス・アラモス研究所とのコラボレーションによって、連邦エネルギー局の管轄のもと、SSTAR(小型・密封型・移動式・自動式の炉)というコンセプトのトリウム炉の開発研究に取り組んでいます。また米国議会は、米海軍においてトリウム原子炉の研究を進める費用を、国防予算に織り込むことを議決しました。


8万kWeのトリウム原発を3本のコンテナに凝縮する大量生産・大量建設構想


私は古川博士のいう1兆kWeの電力を生み出すトリウム原発網を、21世紀中に建設するための総合計画の策定に取り組んできました。シミュレーションの結果、出力8万kWe、50%稼動、寿命30年の分散型小型「トリウム熔融塩原子炉」を、総計で84万基生産する必要があることが導き出されました。また立ち上げには10年で倍増のスピードが要求され、ピーク時と想定される2065年での発電量は、100億kWe/年となる必要があると推定されました。


この天文学的スケールの大量生産を実現するために私が到達した開発構想は、原発の構成要素である原子炉、蒸気発生器およびタービン・発電機を、それぞれ45、20、45フィートのコンテナサイズに凝縮、つまり原発全体をコンテナ3本に集約してしまい、プレファブリングによって、工場で大量生産するというものです。ちなみに、45フィートのコンテナは13,716ミリ×2,438ミリ×2,896ミリ、20フィートのコンテナは6,058ミリ×2,438ミリ×2,591ミリというサイズです。


これで地球上のどんな場所であっても、3本のコンテナをコンテナ船、鉄道、トレラー等で現地に運ぶだけで、「一夜城」ならぬ「一夜原発」ができることになるわけです。言い換えれば地球上の任意の場所が、直ちに油田の油井になるようなもので、電力は、個々の需要地において幾らでも得られるということになります。たとえそれが、銀座4丁目であっても、あるいは南極の昭和基地であっても、ということです。


わが国初の原発は、茨城県東海村の広大な敷地に建設された東海発電所ですが、その出力は16.6万kWeでした。わずかコンテナ3本に凝縮されるトリウム原発が、東海発電所の約2分の1の出力を実現することを思えば、我ながら隔世の感を禁じえないものがあります。


言うまでもないことですが、8万kWeのトリウム原子炉を、45フィートのコンテナサイズに凝縮することは至難の業でした。構成要素は炉本体、燃料タンク、熱交換器、ポンプ等となるわけですが、当然のことながら、炉本体は可能な限り大きくしたいわけです。そうすると、燃料タンクは炉本体に比例するとして、熱交換器+ポンプの大きさと炉本体の大きさとは、絶対的なトレードオフの関係になるわけです。

45ftコンテナサイズのトリウム原子炉・熱交換器(左上)およびタービン・発電機(下)(クリックで拡大)


コンテナ化の鍵を握った小型高性能のプレート・アンド・シェル熱交換器


どのように工夫してみても、熱交換器とポンプのサイズを小さくすることができないため、一時は8万kWeを下方修正するか、あるいはコンテナサイズ化を諦めるか、というところまで追い詰められました。とにかくコンパクトな熱交換器の技術を見つけ出すしかないではないかと思うに至り、Googleで、「heat exchanger」、「熱交換器」をキーワードに画像検索をかけ、虱潰しに当たっていきました。


その結果私の目に止まったのは、フィンランドのバーテルス社が開発し製造している「プレート・アンド・シェル熱交換器」というものでした(http://www.vahterus.com/en/front-page)。日本では、三和テスコという会社(http://www.sanwa-tesco.co.jp/index.htm)が総代理店になっています。早速来日したバーテルス社の社長と技術部長に、私が設計したコンテナサイズのトリウム熔融塩炉の仕様について説明し、そこに組み込む熱交換器として、同社のプレート・アンド・シェル熱交換器の技術が応用できるかどうかのディスカッションを行いました。


問題はいくつかありました。最大の難点はプレートのサイズでした。私の設計では、直径2,408ミリの円形のプレートが多数必要になるのですが、素材である耐熱・耐放射線のニッケル合金、「1%ニオブ添加ハステロイN」の鋼材の板幅は、1,500ミリしかないのです。


バーテルス社の社長は、「この仕様の熱交換器は、世界中でうちしか作れない。うちとしては、面目にかけても引き受けざるを得ない。いざとなったら1,500ミリ幅の鋼板を溶接で繋ぎ、3,000ミリの幅にすることにもチャレンジしましょう。」といってくれたのです。このような紆余曲折を経て、8万kWeのトリウム原子炉は、ぴったり45フィートのコンテナサイズに納まることになりました。

(4)トリウム原発によるBOP優先の安価な電力供給計画 につづく)

コメント

北欧やチェコやアメリカでトリウムの研究が進められてるとありますが、
日本ではあまり行われていないってことなんでしょうか?

Dr. Done氏が、トリウムの原子炉開発を担われていたというのにびっくりしました。
ちょっぴり専門的だったのでちゃんと理解できているかはあやしいですがf(^^;、トリウム原発がこんなに小さく実現できるものなんだと衝撃を受けました!なんか勝手にすごく大きなものと思っていたので。でも、そうやって実現できるのも諦めずに追求⇒協働者の発掘をされていたからなんですね☆

しかし、このトリウム原子炉を84万基という数は、実現可能なものなのでしょうか?続きが気になります!!!

  • mihori 2009年12月15日 03:10

常温核融合のエントリーをトラックバックさせて頂きましたが、うまくトラックバックできませんでした。
よかったら見て頂けるとうれしいです。

http://ken-an-china.jugem.jp/?eid=293

あそーさん

第2回のブログにコメント、ありがとうございました。Done Done!

文章だけでなく、画像まで観賞(!)してくださり、嬉しく思っております。さっそく第1回目の分から、画像を大きくしました。今回は、設計図ですが、ベクトル化のやり方だ分からないものですから、とりあえずこんなもので・・・。4回目からは、画像も楽しんでいただけるようがんばります。といっても、実際にがんばっているのは、協力者のデザイナー、Qさんなんですが・・・。


mihoriさん

毎度コメントありがとうございます。Done Done!

ご存知の通り、原子力に関しては、高速増殖炉もんじゅに拘り続ける日本は、世界でも最もl硬直的な政策をとり続けている国です。プルトニウムの産生を永続するこの政策は、実は世界にとっては潜在的な「核の脅威」となっているわけで、日本がその気にねれば、直ちに核兵器をつくることができるわけです。

つまりアイゼンハワー大統領の発想と全く同質の核政策を、暗黙のうちに日本がとっていると非難されても仕方がないわけです。こうして、日本の政府および原研においては、トリウム原発は、無視、軽視どころか、敵視すらされてきたのです。実は原研の労組も、立場は原研と全く同じで、民主党の原子力政策は、原研労組を基盤に当選している議員が書いているものですから、民主党にもトリウム炉を認める気はさらさらありません。

いっぽう、オバマ政権が、トリウム炉の実現に向けて舵を切るのは、時間の問題であると思われます。今や、原子力政策や核政策について、世界で一番問題なのは日本であると言えます。日本のマスコミも、トリウム原発については、長年、基本的には無視、軽視、敵視を続けてきており、問題です。さらにウラン-プルトニウム・サイクルとトリウム・サイクルを一把一からげに「反原発」を叫び続ける日本の反核運動も、事実上は敵に贈る存在になっています。

次の映像をぜひごらんいただき、感想等お聞かせいただけると嬉しいです。普天間基地を辺野古に移転するか、グアムに移転するかという問題についても、示唆に富む映像です。
http://www.youtube.com/watch?v=itFI87hixy0

ケンちゃんさん

毎度コメントありがとうございます。

常温核融合や常温核転換などは、自然界においては日常茶飯事に起きている普遍的な「事実」であって、イデオロギーでどうのこうのとあげつらうテーマではありません。科学者たるもの、まず事実に対して謙虚でなくてはなりません。めんどりにカルシウムを含まない餌を与えても、ちゃんと卵はカルシウムの殻に包まれて産まれてきます。めんどりの体内で、核変換が行われている証拠です。

核融合はまず科学のテーマとして、次に工学のテーマとして、そして将来は産業のテーマとなるべきものだと思っています。また、超伝導コイルが安価に量産できるようになれば、僅かな太陽光エネルギーから、使っても減らない誘導電流エネルギーを無限に取り出すことも夢ではありません。いずれも22世紀には、当たり前のごとく実用化されているエネルギーでしょう。

私はトリウム原発について、科学者レベル、工学者レベルの研究開発段階から、これを産業家レベルのテーマにするべく取り組んでいるわけです。22世紀のエネルギーまでを架橋するエネルギーは、トリウムしかないと認識しています。したがって架橋するまでに必要な核エネルギーの総量は「1兆kWe」と言っているわけで、その先には、核融合や超伝導誘導電力が実現する時代が訪れ、後進がバトンを継いでくれるものと信じています。

私の余命はあと15年なので、それまでにトリウム原発の産業基盤を人類規模でグローバルに実現したいのです。常温核融合や超伝導の研究者たちには、常に、「後は頼むよ」という願いをもっています。トリウム原発の産業化を人類規模でグローバルに取り組んでいる人が他にいないようなので、私は私のミッションの意義を理解しています。と同時に、応援してくださる方が、一人でも増えることを願って、このブログを書いている次第です。

Done Done!

Dr. Done

  • Dr. Done 2009年12月15日 13:01

>次世代エネルギーを論じるに当って、人類が必要とするエネルギーの総量を、計数的にもイメージ的にも、時系列的にも、はっきりと把握することはきわめて重要です。

次世代エネルギーというと、可能性の片鱗が見えてくるところまでで精一杯なものが多いと思います。

そんな中、Dr. Done氏の探求は現実の必要性が出発点になっている、というところに、共感させられました。

  • yaga 2009年12月16日 16:52

コメントを入力してください


vagaさま コメントありがとうございます。Done Done!

次世代エネルギーの問題を論じるとき、少なくとも石油の次世代として石油に代替するエネルギーについては、それが科学の段階にあるのか、工学の段階にあるのか、産業化の段階にあるのかを明確にしないで論じるわけにはいきません。石油に直接代替する次世代のエネルギーは、今すぐ産業化ができるのでなければ、現実的な代替エネルギーになることはできないのです。

とくに人類の3分の1が、電力を全く知らないことに配慮するなら、少なくとも次世代エネルギーは、現状のあらゆる電力生産コストよりも、はるかにローコストで供給できるものでなければ、広範な非電化地域を無くすことはできません。

今日本には、原発5000発を生産できるだけのプルトニウムが蓄積されています。世界が日本に向ける眼差しは、日本を潜在的な核保有国であると見ています。このプルトニウムを無くすという1点においても、次世代のエネルギーが、トリウムしかありえないことはあきらかです。もちろんトリウムが主役に躍り出るのは今世紀であって、22世紀には当然主人公は代わるでしょう。そのように考えるならウランよりもはるかに大きい埋蔵量をもつトリウムについて、21脊柱に枯渇する心配は全くありません。

エネルギーというテーマは、全人類的テーマであるわけですから、まさに全地球的・全人類的スケールで、産業化、商業化が考えられなければなりません。このテーマは当然ですが、科学者や工学者の手には負えないわけで、まさにグローバルな視野をもつマーケッターの領域に委ねられるべきテーマです。この連載は、そのような視野で書いていくつもりです。

次回は21日の予定です。お楽しみに・・・。

Dr. Done


  • Dr. Done 2009年12月16日 21:35

コメントでご紹介の映像「米核政策の「チェンジ」へ、鍵を握るのは日本」はホント考えさせられますね。
人類の歴史上で唯一、核兵器の犠牲になった国、日本の反対で米核政策の「チェンジ」を打ち砕いたらホントに悲劇です。

是非とも唯一の被爆国である日本からプルトニウムをも燃料として焼却し、エネルギーに変えてしまうことのできる唯一のトリウム熔融塩原子炉を普及させることを実現したいですね。

84万基という数はホント天文学的な数字ですが、どこに設置するかとかも考えておられるのでしょうか?私もmihoriさん同様、続きが気になります。

最近はCOP15などで温室効果ガス削減について論じられていますが、トリウム熔融塩原子炉でエネルギーを生成する際に発生する温室効果ガスは、他のエネルギー生成手段に比較して有効な手段なのでしょうか?素人な質問ですいませんがご教示いただけると嬉しいです。

  • かつ 2009年12月18日 06:44

かつさん

コメントをいただき、ありがとうございます。Done Done!

日本は原爆を5000発もつくれるだけのプルトニウムを備蓄しています。これで日本は被爆国であり、平和憲法の国ですので、核武装などめっそうもございません、という顔をしたところで、世界のどの国が信用してくれるでしょうか?

北朝鮮の核武装や、イランのウラン濃縮にケチをつける前に、ご自分の顔を鏡に映してとくとご覧じろ、などといわれて、返す言葉があるでしょうか?

反原発を叫ぶ人々こそ、先頭を切ってトリウム原発の推進を訴えてもらいたいものです。それができないのであれば、溜まる一方のプルトニウムを無くす方法をきちんと表明するべきでしょう。

84万基の設置計画については、はっきり申し上げればきちんと計画しております。基本的なポリシーは2050年の人口分布をもとに、人口に比例した設置を実現したいと考えています。その具体案の発表まで、楽しみにご期待ください。

「温暖化」が叫ばれている一方で、科学の世界では、すでに「寒冷化」にどう対応すればいいのかという議論も始まっています。温暖化の立証データに、作為があったことも暴かれています。事実に謙虚であり続けるためには、安直に「温暖化」阻止キャンペーンを鵜呑みにしない姿勢も大事ではないでしょうか。私に取ってCOP15は茶番にしか見えないのですが・・・。

ただしトリウム炉がエネルギーを生成する過程では、CO2の排出はありえません。ただし、炉を生産する過程で必要となるエネルギーの生成過程においては、CO2フリーということはありえません。

太陽光発電にしろ、風力発電にしろ、あるいは電気自動車にしろ、水素自動車にしろ、それらの装置は全て化石燃料によるエネルギーを使わないで作られているわけではないという事実も、しっかりと考慮にいれなくてはなりません。CO2フリーをうたい文句にするならなおさらのことです。

Dr. Done


  • Dr. Done 2009年12月18日 17:07

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