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2009年12月28日

宇宙船地球号パイロットのマニフェスト(5)                  トリウム・エネルギーが生むポスト・ドルの準備通貨「UNI」

冒頭筆者は、一事業家であると自己紹介しました。いやむしろ、今ここに新しいビジネスモデルを提起していることからすれば、一起業家(アントレプレナー)であるという方が当っているでしょう。そこには、ソシアル・アントレプレナーとして、ビジネスモデルをもって人類の全面的崩壊に立ち向かうことができるという自負があるからです。


何せ68歳で新規に起業しようとするわけですから、今さら目先収束をするわけにはいきません。国連という舞台におけるスティグリッツ博士や、デスコト前総会議長の国際通貨金融システム改革の闘いに、声援を贈っていればそれでいいというわけにはいきません。単一の超国家的準備通貨実現のためには、ビジネスの力をもってペアとなる車輪をつくり、合わせて両輪となす闘いを欠かすことはできないと考えています。


ということで、5回目をお届けしますが、例によって今後の進捗を一覧にしておきます。バックナンバーについては、リンクになっています。


 1.「石油・ドル本位制」に代わる世界システムをつくる
 2.石油に代わる代替エネルギー資源としてのトリウム
 3.人類が必要とする8万kWe、84万基のトリウム原子炉
 4.トリウム原発によるBOP優先の安価な電力供給計画
 5.トリウム・エネルギーが生むポスト・ドルの準備通貨「UNI」(本稿)

 6.地域通貨「アトム」から国際準備通貨「UNI」への出世街道
 7.「見えざるカミの手」による布石か? シーランド要塞跡
 8.金融崩壊の今こそ、金融再生を担う新しい人材が必要
 9.工程表に従い、エンジニアリング企業とシーランドを確保
10.2050年の人口を基に策定したマーケティング・エリア
11.総額1680兆円の建設費を要するトリウム・エネルギー
12.トリフィン・ジレンマのない「アトム」だから「UNI」に出世できる
13.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(上)
14.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(下)


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ありがとうございます。


トリウム・エネルギーをバックボーンに生まれる新しい基軸通貨「UNI」


前回までに紹介したトリウム・エネルギーが、ポスト「石油・ドル本位制」の「石油」に代替する「エネルギー」問題についての私の戦略ですが、実は当然のことながら、今日まで「石油」との排他的・独占的交換性によって「基軸通貨」としての地位を保ち続けてきた「ドル」に代替する新しい「基軸通貨」、すなわち国際準備通貨も、「石油」に代替するトリウム・エネルギーをバックボーンに創出される可能性をもっていると考えられます。


実は今(2009)年3月9日、スウェーデンの「Thorium ElectroNuclear Ltd.」のエリング氏が、彼のブログ上で、「Torro」という、トリウムをバックボーンとする新しい「基軸通貨」の構想を、思考実験と称して提案し、私を驚嘆させました。
http://thoriumblog.wordpress.com/2009/03/09/thought-experiment-the-torro/


まさにユングのシンクロニシティ(!)としか言いようがありません。全く同じことを、私も、かねてからエリング氏と全く無縁の空間で構想してきていたからです。もっとも私がトリウム・エネルギーをバックボーンにしたドルに代わる基軸通貨に付けるべく提案したいと考えている名称は、「Torro」ではなく、「UNI」です。「UNIque」(ユニーク)で、「UNIversal」(ユニバーサル)に流通し、国連「UN」機関が管理する「International reserve currency」(国際準備通貨)の「UNIt」(単位)である、という意味の名称です。


中性子1個を取り込んでウラン233となるトリウムは、世界中に普遍的に存在するモナザイトという土砂から、希少金属を採取した残滓に含まれており、ウランの4倍もの埋蔵量があるとされています。ウランに比べてはるかに低コストの核燃料になりますが、全埋蔵量を電力に換算すると、文字通り天文学的に無尽蔵のエネルギーとなります。言い換えれば人類は、トリウムというほぼ無尽蔵の新しい「Gold」を手にしているわけですから、トリウム・エネルギー産業の発展とリンクして流通していく新しい基軸通貨「UNI」の実現は、絶大な可能性をもち、かつ必然性をもっていると確信しています。


国連スティグリッツ報告が明示した単一の超国家的国際準備通貨の必要性


今、中露が基軸通貨「ドル」に対する代替プランを提案して、米国の一極支配を支えてきた「石油・ドル本位制」に揺さぶりをかけていますが、ノーベル経済学賞受賞者で、コロンビア大学の教授であるジョセフ・E・スティグリッツ博士は、著書「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」(徳間書店)の第9章で、次のように書いています。


驚くほど簡単な解決策がある。はるか昔にケインズが提唱したこの方策は、準備金として機能する新たな不換紙幣(ケインズは“バンコール”と名づけた)を国際社会が提供するというものだ。世界各国は、例えば危機が発生したときにかぎり、この不換紙幣──ここでは“世界紙幣”(注:原書では「Global GreenBacks」)とよぶ──と自国通貨との交換を保証するものだ。


スティグリッツ博士の提言は、今(2009)年9月21日の「国連総会議長諮問に対する国際通貨金融システム改革についての専門委員会報告」(国連スティグリッツ報告)の最終報告書として結実し、9月24・25日のG20や、9月28日の世界銀行ゼーリック総裁の「基軸通貨ドルの当然視は間違い」という発言にも、強力な影響を及ぼしています。博士は現存の通貨やそれらのバスケットでは、「石油・ドル本位制」の根本的矛盾は解決しないとし、単一の超国家的国際準備通貨を創設することが必然であり、必要であると説いています。しかしながら、G20のような国際的政治力学の峻烈な主導権争いの駆け引きの場で、国際的弱者の立場に十二分に配慮した国際準備通貨の創設ができるかどうかについては、まだまだ不安が残ります。

Joseph_E_Stiglitz.jpg
国際準備通貨創設を提唱したスティグリッツ博士


トリウム・エネルギー産業の「ビジネス」の力で補完してこそ実現する新通貨


国連ミレニアム開発目標(MDGs)の中には、2015年までに貧困を半減させるという目標がありますが、国連関連のどのような機関の取り組みよりも、BRACやグラミン銀行から世界中に拡大普及しつつあるマイクロファイナンス(マイクロクレジット)という「ビジネス」の方が、はるかに貧困の克服にとって大きく寄与してきています。


また原丈人氏が率いる「デフタ パートナーズ・グループ」が、バングラデシュにおいてBRACと共同でつくった、「公益資本主義」の具現化である「デフタ・bracNetモデル」も、「ビジネス」が貧困の克服に寄与している典型的な事例でしょう。


私は「宇宙船地球号のパイロット」を自負する一事業家として、トリウム・エネルギー産業という21世紀最大規模の基幹産業を興し、これとリンクして発行し流通させる新しい基軸通貨、「UNI」を、現代の「バンコール」として、低開発国(BOP=ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)優位の立場に立って創設することにより、スティグリッツ博士等の国連における単一の超国家的国際準備通貨創設の闘いを、「ビジネス」の立場から補完できるのではないかと考えており、そのプロセスを、シミュレーションしています。


シミュレーションの考え方としては、基軸通貨「UNI」の前身となるローカル・カレンシー(例えば後述の「アトム」)を創設し、これをトリウム・エネルギー産業の「ビジネス」の力でインキュベートして孵化、育成した後に、「UNI」に転換していくというようなシナリオです。


(6)地域通貨「アトム」から国際準備通貨「UNI」への出世街道 につづく)

コメント

新しい基軸通貨を国連が提唱し、ビジネスで補完していく試み、すばらしいですね。
貧困を無くす、という大きな課題にたくさんの人がチャレンジしていますが、単なる寄付などの支援ではなく、マイクロファイナンスやデフタパートナーズなど事業として継続して支援できる仕組みが広がってきていてとてもよい傾向だと思います。その点でこのトリウムも事業として継続的にBOPの人たちを支援できる仕組みであり、さらに石油にとってかわることにより、ドルにかわる基軸通貨を提案していく。。。本当に気宇壮大で、通貨ってそんな簡単に発行できるの?と思ってしまいますが、きっとその辺りは次回にお話いただけるのでしょう。楽しみにしています。
>「UNI」を、現代の「バンコール」として、低開発国(BOP=ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)優位の立場に立って創設する、とありますが、優位の立場とはどのようなものを意味しているのでしょうか?
いつもご丁寧にご教授いただき感謝します。

  • かつ 2009年12月29日 18:40

かつさん

毎度コメントありがとうございます。Done Done!

「BOP優位に」という意味をご理解いただくために、以下、スティグリッツ博士の文章を引用しおておきます。「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」の第9章「グローバル準備システムの改革」の冒頭の文章です。

【引用開始】
 国際金融システムはうまく機能していない。途上国の視点からみた場合は、特に機能していない。現在、金は低きから高きへと、貧者から富者へと流れている。世界一の富裕国であるアメリカ合衆国は、自分の稼ぎの範囲内で生活することができず、毎日毎日、貧困諸国から二〇億ドルずつの借金を重ねているありさまなのだ。
 途上国から先進国へ流れる金のうち、一部は巨額な債務──前章のテーマ──の返済にあてられ、そのほかは、“強い”通貨をもつアメリカのような国々の公債購入にあてられる。購入された公債は将来的に、途上国の外貨準備に組み入れられる。公債には大きな強みがある。流動性が高いため、現金が必要になった際、すぐに換金できることだ。逆に弱みは、運用コストがきわめて高く、利回りがきわめて低いこと。例えば、運用の大部分を占めるアメリカ財務省短期証券は、ここ数年間、一パーセントほどの利回りにとどまっている。深刻な資本不足に苦しむ貧困諸国が、世界一の富裕国に数千億ドルを貸し付けるという状況は、どこかにゆがみがあると言わざるをえない。二〇〇四年度、中国、マレーシア、フィリピン、タイの四カ国からアメリカへ流れ込んだ資金──大部分が外貨準備高増加のための投資──は、なんと三一八〇億ドルもにのぼった。
【引用終わり】

石油・ドル本位制のもとで、BOPの世界が貧困の罠に深く深く陥っていくメカニズムが明快に書かれています。

いまやG8が弱体化し、G20がイニシアテブをもつようになりましたが、スティグリッツ博士はG20にも限界があるとし、G192(国連)がイニシアティブをもってこそ、BOPの利益が守られるとしています。

 
 最終的な単一の超国家的国際準備通貨は、弱者であるBOPの利益を擁護するものでなければならず、かつアロイケーションにおいては、インセンティブand/orペナルティの機能をもつものでなければなりません。

 このことは、私が「UNI」の先駆通貨として提唱する「アトム」においても、当然その機能を具備していなくてはなりません。


 基軸通貨については、以後回を重ねる中で、さらに詳しく展開していきますので、ご期待ください。

Dr. Done

  • Dr. Done 2009年12月30日 19:36

新しいエネルギー資源が重要なのは分かりますが、新しい基軸通貨というのがどう重要なのかいまいちピンと来ませんね^^;)
自分はもっと勉強する必要があるようです。

  • あそー 2009年12月31日 00:19

あそーさん

コメントありがとうございます。Done Done!

かつさんのコメントへのコメントにも書きましたが、まずスティグリッツ博士の「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」の第9章「グローバル準備システムの改革」にはぜひ目を通していただきたいと思います。

以下は、すでにタケチャンさんへのコメントの中で書いた部分ですが、スティグリッツの国連報告の中には、ご質問への回答が完璧に書かれています。ぜひ森史朗氏の翻訳文にお目通しください。


私が「石油・ドル本位制」が人類の全面的閉塞の究極の根源であるという認識に最終的に確信をもったのは、スティグリッツ博士の「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」(徳間書店)を読んだことによります。そのスティグリッツ博士が、今年9月21日「国連総会議長諮問に対する国際通貨金融システム改革についての専門委員会報告」(国連スティグリッツ報告)の最終報告書
http://www.un.org/ga/econcrisissummit/docs/FinalReport_CoE.pdf
を発表しましたが、その報告と、スティグリッツ博士を同専門委員会の委員長に起用した、前国連総会のデスコト議長の序文は、構造認識のために必読の、最上級の文献であると確信しています。

日本の「国連広報センター」が、このような重要文献を翻訳発表しないのは、重大な不作為だと思っていますが、幸いなことに私たちは、「和泉通信ブログ」の主宰者、森史朗氏の病を圧しての甚大なご努力によって、主要部分を日本語で読むことができます。
http://izumi-tsushin.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/20090921-1021.html

Dr. Done

  • Dr. Done 2009年12月31日 07:03

バックナンバー含め、読ませていただきました。
安定的なエネルギー供給と経済の仕組みを目指したビジネスモデル、
凄いなぁと率直に思いつつもきちんと解ったような、解ってないような……というのが感想でした。

発展途上国、後進国と先進国との格差是正こそが、これからの地球の将来において
最も重要であるという「アタリ」そのものはあったものの、
その実現可能性については見通しのなかった点、次回にも大きな期待と興味がわきました。
新エネルギーというと、まるで先進国が抱えるエネルギー問題に対する
解答であるかのような扱いが、これまでだった気がするのです。
搾取するために、意図的に社会的弱者を作り出す構造下において、
いかに格差を是正するかこそが、本来の人類あるべき姿に回帰する手段だと考えます。

ありがとうございます。
名刺を頂けて良かったです。

  • (´・∀・`) 2010年01月01日 12:07

(´・∀・`)さん

コメントありがとうございます。Done Done!

この小論は、21世紀最大スケールのビジネスモデルであり、事業計画書のプレゼンテーションです。したがってキモはずばり実現可能性、すなわちフィジビリティにあります。そういう観点で、引き続きご検討いただけると嬉しいです。

これからは、回数が進むにつれて、かなりフィジビリティに分け入っていくことになります。エネルギーにしろ、基軸通貨にしろ・・・。

70年代からの貧困の消滅が言われますが、人類68億人を全体としてみたとき、貧困が消滅した人口は1割にも満たない極少数派であって、人口の9割は、ますます深刻化する貧困にあえいでいます。

何度も書きましたが、人類の3人に一人は、いまだかつて電力を知らないのです。私たちはTOPの世界から人類全体を見ることに慣れすぎているわけですが、実は圧倒的多数派であるBOPの世界から人類全体を見る目線を大切にしなければならないと思います。

ところで、トリウム原発の特徴の一つは安全性にあるわけですから、発電所は電力の消費地に、分散型でつくるほうがよいということになります。したがって例えば日本の場合、日本海側の発電所で発電した電力を、超高圧にして野越え、山越え、送電してくるような既存の設備インフラは、全く無用の長物となってしまうのです。

こういうわけで、トリウム発電を導入するには、先進国よりも、既存の電力インフラの無い非電化地域のほうがはるかに有利になるのです。これは後進国こそトリウム原発の先進国になることを意味します。

その後進国を優先しながら、どのようにトリウム・エネルギー産業のマーケティングを展開していくか、かなり突っ込んだところまで開示していきます。

最後は具体的なケース・スタディとして、北朝鮮に焦点を当てて、朝鮮半島マーケットを取り上げて締めることにしています。

もちろんドルに代替する基軸通貨の実現についても、リアルな実現論を、世界初の提案として詳述します。

ぜひ、今後にご期待ください。次回は1月4日(月)にエントリーします。

Dr. Done

  •  2010年01月01日 18:47

あけましておめでとうございます☆今年も記事UP楽しみにしています♪

今回も質問があります。いつも勉強不足で質問ばかりで申し訳ないのですが…f(^^;

>博士は現存の通貨やそれらのバスケットでは、「石油・ドル本位制」の根本的矛盾は解決しないとし、単一の超国家的国際準備通貨を創設することが必然であり、必要であると説いています。

とありますが、『「石油・ドル本位制」の根本的矛盾』ってなんなのだろう?ってふと疑問に思いました。対応策としては、バスケット通貨とか、現物を裏づけとする兌換貨幣にしたらいいとかはよく聞きますが。。。教えてもらえると嬉しいです♪Dr.Done氏が仰っている、トリウムで補完できる新通貨が出来ればうまくいくという実現基盤をもう少し知りたいな~と想いました♪

  • mihori 2010年01月04日 02:11

mihoriさん

コメントありがとうございます。Done Done!

時間が経過していますので、次回のコメント欄においてコメントしたいと思います。

Dr. Done

  • Dr. Done 2010年01月05日 09:57

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