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2010年01月24日

GDP信仰からの脱却7~GDPの成立と批判の歴史

前回までの記事の中で、GDPという指標の本質とはどういうものなのかについて検討してきた。


GDPとは“国内を流れたお金の総量”(第2回)
GDPとは“市場化”された活動の総量(第3回)
GDPとは“共同体の解体度合”の指標(第4回)
2割が政府借金に支えられているGDP(第6回)


第3回の記事で書いたように、GDPとは市場という“お金世界”の大きさを表す指標である。貧困の時代は、GDPを上げることが大衆の意識と合致した目標足りえたが、現在は上記の記事で書いたように、共同体解体の弊害や市場原理主義の弊害の方が大きくなった。


そもそも、GDPという指標はいつ頃、どのようにして、世界的な経済指標として用いられるようになったのか?今回は、その歴史的経緯を押さえてみる。


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■欧米が開発し、国連が普及したGDP


過去の本ブログの記事でも引用されたるいネットの記事、及び、ネットサロンのブログ仲間が調べてくれた内容をもとに年表化してみた。


1665年  ウイリアム・ぺティ(英)が初めて国民所得を推計
1843年  ジョージ・タッカー(米)が米国の国民所得を初めて推計
1928年  日本初の国民所得推計
1929年  世界大恐慌
1936年  ジョン・メイナード・ケインズ(英)が有効需要理論(ケインズ理論)を確立
1941年  サイモン・クズネッツ(米)がGNP(Gross National Product)の概念を考案
        Simon_Kuznets.gif
        Simon_Kuznets(1901-1985)


1945年  第二次世界大戦終戦、国際連合(UN)設立
1953年  国連が国民経済計算の体系を初めて作成
1968年  国連が新しい国民経済計算の体系(68SNA)を提唱 
1978年  日本が68SNAを採用
        ⇒ここから日本で「GNP」が用いられるようになる
1993年  国連が93SNAを作成、加盟国に使用勧告
2000年  日本が93SNAを採用
        ⇒ここから日本で「GDP」が用いられるようになる

GNPやGDPといった国民経済計算の体系を世界に普及したのは国際連合≒英米だ。当然、というべきか、米国は国民経済計算の導入当初から現在まで、GDP、GNPの世界第1位をキープしている。

英米と言えば、このブログでも常々書かれているように『金貸し』が支配する国家であり、英米が主導して設立された国際連合も例外ではない。そして、中央銀行と銀行が通貨発行と信用創造を通して負債からマネーを生み出す近代以降の金融システムでは、経済の成長=GNP・GDPの拡大とは金融機関の貸出額の増大とイコールである。

したがって、GNP・GDPは、誰よりも金貸しにとって最も都合の良い指標であることは間違いない。


一方・・・・・


■開発者すら気づいていたGDPの限界


実は、GNPやGDPといった国民経済計算に基づく指標は、現在まで何の批判もなく諸手を上げて受け入れられてきたわけではない。


るいネットの「開発者すら気づいていたGNP(GDP)の限界」より引用。

実は、GNPに基づく経済運営の問題点は早くから指摘されていました。故ロバート・ケネディ元米大統領候補は、GNPには中毒物質、交通事故、犯罪、環境汚染、環境破壊、戦争兵器や武器などが含まれるのに、健康、教育の質、楽しさ、美しさ、知恵、勇気、誠実さ、慈悲深さなどは含まれず、要は私たちの「生きがい」につながるものがすっぽり抜け落ちていると指摘しました。
JFK_RFK.jpg
ジョン・F・ケネディ(左)とロバート・F・ケネディ(右)

GNPの問題点を上記のように指摘したロバート・F・ケネディは、中央銀行制度に反対し政府紙幣の発行を提唱した兄、ジョン・F・ケネディと同じ運命を辿り、1968年に何者かに暗殺されてしまう。

実際、研究では日本でもアメリカでもイギリスでも、負の側面に流れるお金を差し引くと、経済はこの30~40年まったく成長していないと報告されています。そもそも、GNPを開発したサイモン・クズネッツ自身が、GNP(GDP)は国の経済の善し悪しを測る指標としては適さないと断じているのです。


『負の側面』の最たるものは戦争経済であろう。現に米国(正確には在米の国際金融資本勢力)は、経済的に危機に陥ると戦争を仕掛け、世界中に不幸をばら撒いている。最近であればインフルエンザ・ワクチン禍で成長する薬品業界も同様だろう。結局、GNP・GDPはカネの動きの総量だけがもっぱら着目される指標であるため、その裏に隠れたマイナス要因が覆い隠されてしまうことが最大の問題だと言えるだろう。


こうした経済指標の問題点に対して、国民総幸福量(GNH)の提唱と研究を開始したブータンを始め、新たな経済指標を開発しようという動きが少数ながら起きている。次回以降は、このような動きを押さえながら、新しい時代の経済指標に必要な要素はどういうものか考えていきたい。

コメント

>経済の成長=GNP・GDPの拡大とは金融機関の貸出額の増大

GDPも「金貸し」の産物なんですね。。。
マネーの貸出量が増えれば、その金で何をしようともGDPは増加する。
金の量ではなく、どれだけ社会的に有効に使われたのか?がわかる仕組みがあると世の中変わっていく
ように思います。

  • 沙羅 2010年01月28日 21:51

GNP・GDPの問題点を指摘していた人がちゃんといたんですね~!!!
まっとうな意見ですら、金貸し達にとって都合の悪いことは全くなかったことにできてしまう(=共認支配されている)世の中がコワイなぁ~って改めて思ってしまいました。

>新たな経済指標を開発しようという動きが少数ながら起きている。
これ、気になります♪
もしかしたら既に今の時代にあった指標を追求している人がいるかも♪金貸しによってその声が聞こえてこないだけで…。

  • mihori 2010年01月29日 15:37

沙羅さん、コメントありがとうございます。

> 金の量ではなく、どれだけ社会的に有効に使われたのか?がわかる仕組み

何をするにもお金というものが必要な社会が(多分)当面はなくならない以上、
「何に使われたのか?」「どのように使われたのか?」を問うことは不可欠ですね。

その評価軸がある程度の普遍性を獲得できれば、新しい指標のヒントになるかも。

mihoriさん、こんばんは。

> 既に今の時代にあった指標を追求している人がいるかも♪

います。けど、あまり声は聞こえてきませんね。
成長停止時代が来ることを皆が得心しないと、まともに考える気にならないのかも。

  • s.tanaka 2010年01月30日 03:31

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